受診理由ノート一覧へ
N01ICPC-2 · 7.0公開済み

頭痛

筆者の題名:受診理由としての頭痛

N · 神経資料確認
別名
頭が痛い頭痛が続くいつもと違う頭痛
症状ノート
頭痛片頭痛雷鳴頭痛

🧠 頭痛という受診理由は、片頭痛などの診断名を付ける前の入口である。 症状ノートの頭痛が病型と警告徴候を整理するのに対し、このノートは頭痛を理由に受診した集団で、何が第一診断として記録されたかを扱う。

症状・病型・受診理由を重ねない

記録の種類 意味
頭が痛いという訴え 受診の入口。原因はまだ限定されない
頭痛という症状の診断カテゴリ 受診時点で症状名のまま記録されたものを含む
片頭痛などの病型 病歴や評価を踏まえた診断。受診理由だけでは確定しない
頭痛以外の第一診断 併存疾患や、その受診で優先して記録された問題を含みうる

症状カテゴリが多いことは「危険な疾患が否定された」という意味ではなく、確定診断の追跡結果でもない。逆に、表にある原因疾患の名前を、その受診理由からの診断の近道にはできない。

発症の速さは出典の範囲も確認する

雷鳴頭痛の定義に使う時間は資料によって異なる。ここで参照する NG228 は、典型的には 1〜5 分で最強になる突然の激痛を警告徴候としている1。雷鳴頭痛のノートにある短い定義上の区切りを超えたことだけで、くも膜下出血の懸念を下げる読み方はしない。

頻度の表と、発症の速さや意識変化などに基づく警告徴候は別の情報である。発熱や項部硬直がすべて揃うまで髄膜炎を疑えない、という意味にもならない2。

病型別の機序や治療は片頭痛などのノートに分け、この受診理由の分布を治療選択へ直接つなげない。

見逃し時の損失が大きい状態

頻度の高さではなく、見逃したときの損害と判断までの猶予で選んだ項目です。確率は併記しません。対応は、各ガイドラインが明示している内容だけを書いています。

  • 即時

    突然の激しい頭痛で、典型的には 1〜5 分で最強となり、くも膜下出血が疑われる

    くも膜下出血

    急性期病院以外では救急外来へ直ちに紹介する。急性期病院では上級の臨床判断者が緊急に評価する。発症からの時間は診断評価に重要だが、分布表の順位で紹介の要否を決めない。

  • 即時

    頭痛に発熱、項部硬直、意識または認知の変化が伴う。すべてが揃わなくても、臨床的に細菌性髄膜炎が疑われる

    細菌性髄膜炎

    救急で病院へ搬送する。典型的な組み合わせがないことだけで否定せず、乳幼児や高齢者の非典型的な現れ方にも注意する。

  • 早期

    12 歳以上で、従来の頭痛から性状が大きく変化した、または咳・運動・体位に関連する頭痛が新たに問題となる

    二次性頭痛

    追加評価・紹介の必要性を検討する。CG150 はこの項目群に一律の時間数を置いていない。突然の激痛や意識変化などを伴う場合まで、早期という区分で待機させる意味ではない。

場ごとの事前分布

主な受診理由(RFV1)としてこの訴えが記録された受診の、第一診断(DIAG1)の分布です。診断は ICD-10-CM の 3 桁カテゴリで、受診時の記録です。95% 信頼区間を括弧に示します。順位は標本誤差で入れ替わりうるため、 点推定の大小だけで読まないでください。

NCHS RVC: 1210 Headache, pain in head

pie showData title 診療所(専門科):第一診断の内訳(%)
  "H53 Visual disturbances" : 0.9
  "J32 Chronic sinusitis" : 0.8
  "H52 Disorders of refraction and a…" : 0.6
  "その他(上位以外・抑制を含む)" : 97.7

診療所(専門科)(非加重 44 件)。提示基準を満たした上位の診断だけを描き、残りは「その他」にまとめています。

pie showData title 救急外来:第一診断の内訳(%)
  "R51 Headache" : 32.4
  "G43 Migraine" : 7.9
  "G44 Other headache syndromes" : 4.3
  "S09 Other and unspecified injurie…" : 3.9
  "S06 Intracranial injury" : 3.2
  "その他(上位以外・抑制を含む)" : 48.3

救急外来(非加重 1,719 件)。提示基準を満たした上位の診断だけを描き、残りは「その他」にまとめています。

受診時診断(ICD-10-CM 3 桁)診療所(プライマリケア)診療所(専門科)救急外来
R51Headache
抑制抑制
32.4%29.0–36.0
G43Migraine
抑制抑制
7.9%6.3–9.7
G44Other headache syndromes
抑制抑制
4.3%3.1–5.9
S09Other and unspecified injuries of head
——
3.9%2.7–5.3
S06Intracranial injury
抑制抑制
3.2%2.3–4.4
U07Emergency use of U07
——
3.2%1.7–5.3
I10Essential (primary) hypertension
—抑制
1.8%1.1–2.8
B34Viral infection of unspecified site
——
1.5%0.8–2.4
J06Acute upper respiratory infections of multiple and unspecified sites
——
1.4%0.7–2.4
S00Superficial injury of head
——
1.3%0.7–2.2
この訴えが記録された受診数(非加重)29441,719
調査年2018・20192018・20192019・2020・2021・2022

Tier A: 米国 NCHS の公開マイクロデータ(NAMCS・NHAMCS ED)を複合標本設計で集計。受診単位。 「—」はその場の上位の診断に入っていないこと、「抑制」は NCHS の提示基準を満たさないため値を表示しないことを表します。 標準誤差・信頼区間は、匿名化のためにマスクされた公開版の設計変数による推定です。

併せて記録された受診理由

この訴えが(5 枠のどこかに)記録された受診で、同時に記録された受診理由の上位です。記録されていないことは、陰性だったことを意味しません。記録枠・患者の自発的な訴え・記録者の選択に左右されるため、問診の優先順位として読まないでください。

救急外来

  • RVC 1525Nausea13.6%(12.1–15.2)
    非加重 547 件
    • R51Headache17.8%(13.8–22.3)
    • G43Migraine6.4%(4.2–9.3)
    • R11Nausea and vomiting5.5%(3.3–8.6)
  • RVC 1010Fever12.8%(11.1–14.6)
    非加重 462 件
    • R50Fever of other and unknown origin13.6%(10.0–18.0)
    • B34Viral infection of unspecified site11.4%(8.0–15.6)
    • U07Emergency use of U0710.6%(6.9–15.3)
  • RVC 1225Vertigo - dizziness11.9%(10.3–13.6)
    非加重 461 件
    • R51Headache21.3%(16.1–27.2)
    • R42Dizziness and giddiness13.7%(9.0–19.6)
    • S06Intracranial injury4.9%(2.9–7.6)
  • RVC 1440Cough10.3%(8.8–12.0)
    非加重 378 件
    • U07Emergency use of U0714.2%(9.6–20.0)
    • J06Acute upper respiratory infections of multiple and unspecified sites12.5%(9.1–16.7)
    • B34Viral infection of unspecified site10.0%(6.1–15.3)

この表が動く条件

上の分布を単独で一般化させないための節です。事前確率が大きく動く要因を挙げます。

初発・反復と発症からの時間
初めての急な頭痛と、既知の頭痛が反復する人を分けていない。発症直後の評価と慢性の経過を、同じ分布だけで説明しない。
年齢・妊娠・産褥・既往
小児、高齢者、妊娠・産褥期、免疫抑制や悪性腫瘍のある人では集団が異なる。この表はそれらで層別していない。
受診先と記録される診断
専門科には眼科的な診断カテゴリが表示されることもあるが、それを頭痛の原因の証明とは読まない。診療科や受診経路を揃えた原因比較ではない。
併せて記録された受診理由
悪心、発熱、めまいなどが併記された受診を別に示す。記録されていない随伴症状を陰性所見にはできない。
調査年と診断分類
救急外来は 2019〜2022 年のプール値であり、感染症流行期を含む。症状カテゴリと原因疾患のカテゴリが混在するため、頭痛の病型の割合と同一視しない。

他地域へ移すときの限界

  • 米国の受診時の第一診断の分布であり、日本・ハンガリーの頭痛診療への移植性は未検証である。
  • 頭痛の専門診療に紹介された集団と救急外来の集団では、入口が異なる。専門外来の研究の病型割合と直接比較しない。
  • 緊急紹介の説明は英国の指針に基づく。地域ごとの診療体制や検査の利用可能性を、この表から判断することはできない。

参考文献・資料

  1. 1.Subarachnoid haemorrhage caused by a ruptured aneurysm: diagnosis and management(National Institute for Health and Care Excellence・2022)勧告 1.1.2〜1.1.6 の本文で、典型的には 1〜5 分で最強となる突然の激しい頭痛を警告徴候とし、くも膜下出血が疑われる場合は急性期病院以外から救急外来へ直ちに紹介することを確認した。急性期病院内では上級の臨床判断者が緊急に評価する。頭痛の強さだけから診断を確定する勧告ではない。閲覧 2026-10-15
  2. 2.Meningitis (bacterial) and meningococcal disease: recognition, diagnosis and management(National Institute for Health and Care Excellence・2024)勧告 1.1.4〜1.1.7、1.2.1 の本文を確認した。発熱・頭痛・項部硬直・意識または認知の変化が揃えば細菌性髄膜炎を強く疑い、全徴候がなくても臨床評価で疑ってよい。疑う場合は救急で病院へ搬送する。乳幼児や高齢者では非典型的な症状もある。閲覧 2026-10-15
  3. 3.Headaches in over 12s: diagnosis and management (CG150)(National Institute for Health and Care Excellence・2025)2025 年 6 月更新版の勧告 1.1.1〜1.1.2 を本文で確認した。発熱を伴う増悪、新たな神経症状や意識変化、外傷、咳・運動・体位に関連する頭痛、性状の大きな変化などでは追加評価・紹介を検討する。対象は 12 歳以上で、全項目を一律の時間枠にする勧告ではない。閲覧 2026-10-15