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W17ICPC-2 · 7.0公開済み

分娩後出血

筆者の題名:受診理由としての産後の出血

W · 妊娠、育児、家族計画
別名
出産後に出血が止まらないお産が終わったあとも血が出る産後しばらくしてから出血が増えてきた
症状ノート
腟出血

🧠 分娩後の出血という訴えは、妊娠・出産という固有の生理的・解剖学的背景を前提としており、一般的な出血症状とは記録の文脈が大きく異なる。 この受診理由は、共有モジュールによる記録の括りや提示基準の制約から、外来統計の第一診断分布として単独の姿を現しにくい。

産褥期の出血の訴えと受診記録

受診時の捉え方 記録上の留意点
産褥期の出血 一般的な腟出血とは異なり、分娩という背景因子が特定されている
共有モジュールとしての記録 産後の他の問題とともに一つの枠組みに括られ、個別の訴え単独の集計になりにくい
診療の場による違い 産科病棟や専門施設、外来診療所など受診経路により記録のされ方が異なる

分娩後の出血は、通常の腟出血の枠組みとは別に、産褥期特有の問題として受診理由に挙がる。しかし、外来統計の受診理由分類においては独立した単独の集計単位として扱われない場合があり、産褥期のさまざまな問題と束ねられた集計モジュールの中に含まれることがある。

この表だけで分類先を確定するものでもない。臨床的には、分娩後24時間以内の一次性分娩後出血および24時間超〜産後12週までの二次性分娩後出血では4つの原因(子宮収縮不全、産道損傷、胎盤遺残、凝固障害)と低容量状態の有無を評価し1、突然または非常に多量の性器出血、持続・増加する性器出血(胎盤遺残や子宮内膜炎を示唆)、および腹部・骨盤・会陰部痛や発熱・悪寒戦慄・悪臭のある帯下がある場合は遅滞なく緊急の医学的評価を行う2。

表示できる第一診断分布がない理由

今回の集計では、プライマリケア診療所および救急外来のいずれにおいても加重推計100,000件以上、標準誤差が推計値の30分の1以下、かつ実標本30件以上という統計的提示基準を満たす第一診断カテゴリが存在せず、専門科診療所では集計自体が存在しない。そのため、診断分布の表は描かれない。

提示基準を満たす集計がないことは、産後の出血をきたす病態が臨床現場で稀であることを意味しない。本コードの受診記録は「産後の問題」という上位の集計モジュールを他のコードと共有しており、特定の診断カテゴリとして十分な記録数に達しないことや、分娩管理を担う専門医療機関と一般外来との受診経路の違いが影響している。集計がないことをもって、受診頻度や疾患の発生頻度を過小に評価してはならない。

また、未記録の受診理由は陰性所見ではなく、特定の訴えが併記されていないからといって他の症状が存在しない証拠にはならない。このデータは米国の受診記録に基づいたものであり、分娩管理体制や周産期医療システムが異なる日本や他地域への直接の移植性は検証されていない。

見逃し時の損失が大きい状態

頻度の高さではなく、見逃したときの損害と判断までの猶予で選んだ項目です。確率は併記しません。対応は、各ガイドラインが明示している内容だけを書いています。

  • 即時

    分娩後に突然または非常に多量の性器出血がある場合、または低容量状態(頻脈、低血圧、めまい、失神など)の症候を伴う出血がある場合

    分娩後異常出血出血性ショック子宮収縮不全・胎盤遺残

    直ちに緊急の循環動態評価・輸液蘇生と出血源の制御(子宮収縮不全、産道損傷、胎盤遺残、凝固障害の評価と処置)を行う

  • 当日

    産後に持続または増加する性器出血がある場合、または腹部・骨盤・会陰部痛、発熱、悪寒戦慄、悪臭を伴う帯下・悪露を認める場合

    胎盤遺残産褥子宮内膜炎

    胎盤遺残や産褥子宮内膜炎などの二次性分娩後出血・産褥感染症として遅滞なく医学的評価と治療を行う

参考文献・資料

  1. 1.Postpartum Hemorrhage(StatPearls・2024)抄録(PMID 29763164)で、分娩後出血は分娩様式を問わず分娩後24時間以内に低容量状態の症候を伴う累積1,000 mL以上の出血(経腟分娩では500 mL超も異常として介入を要しうる)と定義され、胎盤娩出から24時間以内の一次性と分娩後24時間超〜12週までの二次性に区分されること、原因は4つのT(子宮収縮不全、産道損傷、胎盤遺残、凝固障害)に要約され迅速な輸液蘇生と出血源制御を要することを確認した。閲覧 2026-10-16
  2. 2.Postnatal care(National Institute for Health and Care Excellence・2021)Recommendations 1.2.3・1.2.4で、産後の接触時には感染の症状・徴候、疼痛、悪露・性器出血、血栓塞栓症・貧血・妊娠高血圧腎症の症候を評価し、突然または非常に多量の性器出血、あるいは持続・増加する性器出血(胎盤遺残や子宮内膜炎を示唆しうる)、および腹部・骨盤・会陰部痛、発熱、悪寒戦慄、悪臭のある帯下(感染を示唆しうる)があれば遅滞なく医療機関を受診するよう伝えると勧告していることを確認した。閲覧 2026-10-16